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成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)の進行に伴い、高カルシウム血症がしばしば合併します。これは、がん細胞から産生される①PTH-rP②RANKL③MIP-1αなど骨吸収促進因子が関与するとされています。ATLの急性型では80%以上の患者に高カルシウム血症が見られます。その臨床症状は、軽症から中等度で口渇、多尿、倦怠感、便秘、脱力感がみられ、重症化すると意識障害、昏睡に至りますカルシウムは血管の壁、腎臓の尿細管、肺胞壁、心臓など全身のあらゆるところへ沈着します。いろいろな臓器に沈着したカルシウムは取れませんので、高カルシウム血症は最も緊急を要する治療対象です。治療としては、多量の点滴や利尿剤にて尿の量を増やしてカルシウムを尿に排泄しやすくします。また、ビスホスホネート製剤の投与、カルシトニン製剤の投与を行います。
ATLの増殖を抑えるために、抗がん剤を用いた化学療法が同時に必要となります。
HTLV-1は獲得免疫系の要であるT細胞に感染するため、免疫能が低下して感染を防ぎきれなくなります。健康なら感染しない常在菌、真菌(かび)、原虫、寄生虫、ウィルスに対して、日和見感染を起こし、しばしば再発を繰り返します。
真菌感染症では、カンジダ症(食道炎や気管支肺炎等)、クリプトコッカス症(肺炎や髄膜炎等)のような疾患がよくみられ、治療としてフルコナゾールやアンホテリシンBが用いられます。アスペルギルス症(気管支肺炎)に対しては、ミカファンギンやボリコナゾールが用いられます。ニューモシスチス肺炎の治療としては、ST合剤やペンタミジンが用いられます。しかし最近では、ST合剤の予防投与(4錠/日の週2日間もしくは0.5~1錠/日の連日投与)がなされ、ニューモシスチス肺炎の合併はほとんどみられなくなっています。ウイルス感染症で最も多いものはサイトメガロウイルス感染症(肺炎、網膜炎、消化管感染症)で、ガンシクロビルが使用されます。寄生虫症としては、糞線虫(ふんせんちゅう)症がよく知られ、サイアベンダゾールやアイバメクチンで治療されます。
がん化したリンパ球は多岐にわたる臓器への浸潤がみられます。リンパ節の腫脹、肝脾腫の頻度は急性型、リンパ腫型の順に高く、急性型で浸潤腫瘍量が多いことを表しています。しかし、急性型の表在リンパ節の大きさは、リンパ腫型に比較し一般には小さいです。リンパ腫型では表在リンパ節の腫大がおもな症状です。肺門、腹腔、後腹膜リンパ節の腫脹もみられます。急性型、リンパ腫型では肺、胸腹水、骨、消化管、中枢神経に浸潤が高頻度に見られます。肺浸潤の症状は、喀痰、呼吸困難感、胸水では胸痛、呼吸困難感、腹水では腹痛、腹部膨満感、骨症状は骨痛、骨折、消化管では腹痛、下痢、嘔気、中枢神経症状は髄膜刺激症状、意識障害、腸管に浸潤すると、止痢薬が無効な激しい下痢などが現れます。皮膚浸潤の症状は急性型、慢性型、くすぶり型の40%以上にみられます。皮疹が初期症状であることは急性型でもみられますが、慢性型、くすぶり型の約50%以上の症例で皮疹が初期症状であり、他の臓器浸潤が急性型で多いことと異なる特異的な病状となります。
皮疹の性状は湿疹様、小丘疹様、小腫瘤様、紅皮様とさまざまです。